「エレキバイオリン」は共鳴するボディが無いために、『美しい音の響き』を楽しむことはできませんが、消音効果があり、演奏時周囲の人に気兼ねする初心者の人や、深夜の練習などにも期待できます(ヘッドホンで十分な音を聞くことができます)。
またステージなどでスピーカーから電気的に大きな音を出したいときなどに効果があります。
「エレクトリックバイオリン」、「電気バイオリン」、「電子バイオリン」など、呼び方は様々です。
時々ご質問をいただきますが、「サイレントバイオリン」とはYAMAHA社の登録商標の商品名で、サイレントバイオリンも同じくエレキバイオリンのことです。電子オルガンのことを「エレクトーン」と呼ぶのと同じですね。
●アコースティックバイオリンとの違い
ここで言うアコースティックバイオリンとは、エレキバイオリンでない、通常のバイオリンのことです。
エレキバイオリンは基本的に共鳴するボディが無いだけで、弦や弓などは同じものを使用しますし、演奏方法も同じです。
細かいことを言えば、アコースティックバイオリンは弦を弾いた後、わずかな時間差がありボディが共鳴し、更にそのボディの振動が、弦、弓へと跳ね返ってきますが、エレキバイオリンにはそのような響きの時間差や振動感はありません。
それらのわずかな演奏感覚の違いによる違和感は発生しますが、上級者でもなければ、あまり神経質にならなくても良い程度でしょう。
エレキバイオリンは、アコースティックバイオリンを演奏する感覚を最大限残しながら、音量を最小限に押さえることができる楽器と言えます。
わずかな演奏感覚の違和感や音の共鳴の違いよりも、消音効果やステージ演奏などメリットの方がが高いようでしたら十分にお楽しみいただける楽器だと思います。
アコースティックバイオリンは木箱の美しい響きを楽しむ楽器とも言えます。
その観点からは、エレキバイオリンには肝心な木箱自体が無いため音の共鳴を楽しむことはできませんので、それがエレキバイオリンの致命的な欠点とも言えますが、練習用やステージ用としてたいへん有効にご活用いただける楽器です。
意味無くエレキ(サイレント)バイオリンでグループレッスンをする教室もあるようですが、購入目的が消音効果を期待した練習用としてまたはステージ用としてでない場合には、エレキバイオリンよりも、木箱の美しい響きをお楽しみいただけるアコースティックバイオリンをおすすめします。
なお、アコースティックバイオリンと同じように、上達後にはやはり弦や弓を良質なものに交換されることをおすすめします。
また、とても重要なことですがエレキバイオリンでもやはり販売店による調整作業は必要ですのでご注意ください。
●消音効果
音が小さいことを期待されることが多いので、実際にどのくらい消音効果があるのか調査しました。
その前に・・・、YAMAHA社の商品名「サイレントバイオリン」という名称が誤解を招くこともありますが、すべてのエレキバイオリンは、音が完全に消えるわけではありません。
エレキバイオリンの音を出す仕組みは、アコースティックバイオリンと変わりません。
弦から駒へ伝わる音エネルギーを、ピエゾピックアップで拾い、電気的にヘッドホンやスピーカー音を出すことができます。
ただ共鳴するボディ自体がないので、外に漏れる音は基本的に弦を擦る程度の音のみになります。
バイオリンは耳のそばで弾くため、本人はその消音効果をあまり感じませんが、遠くで聞くとよく分かります。
比較するアコースティックバイオリンの質などにもよりますが、YAMAHA社の発表では、音量は約1/10、音エネルギーは約1/100とされています。
ただし、実際にはそこまで極端な消音効果あるとは感じられませんが(測定条件についてのYAMAHA社の発表はありませんが音の指向性や減衰特性なども含めた調査ではと思われます)、それでも間違いなく小さな音になります。
さて当店では、気になる実際の音量を騒音計を用いて測定してみました。
測定条件ですが、夜間の閑静な住宅街の部屋にて(何も音を立てずに測定すると約35dB)、高音から低音まで使用する特定の曲を同一人物が演奏し、楽器から約3メートル離れた位置にて、3度測定した音量結果の平均値を示します。
dB(デシベル)表示ではピンとこないかもしれませんが、ご参考として次の音量をもとにイメージください。
・通常の話し声やテレビの音量:約60dB
・電話の呼び出し音量:約70dB
・ピアノの音量:約90dB
それでは様々な条件の楽器の音量測定結果を報告します。
・アコースティックバイオリン:77dB
・アコースティックバイオリンにゴム製消音器を取付:69dB
・アコースティックバイオリンに金属製消音器を取付:61dB
・エレキバイオリンEV-202:69dB
・エレキバイオリンEV-202に付属するゴム製消音器を取付:60dB
・エレキバイオリンEVN-27:63dB
・エレキバイオリンEVN-27に付属するゴム製消音器を取付:54dB
・エレキバイオリンESV-380:62dB
・サイレントバイオリンSV130、SV-200:58dB
以上の結果は、あくまでも音量を測定したもので、実際には音の特性により感じ方は異なりますし個人差があることをご了承ください
アコースティックバイオリンに金属製消音器を取り付けることもかなり有効であることが分かりますが、本来は響くものを強制的に止めるため楽器への悪影響が心配され、また取り扱いには十分な注意が必要です(「消音器と弱音器」参照)。
つまり、エレキバイオリンの音量は、大まかに言えば通常の話し声と同じ程度の音量(60dB前後)と言えます。
深夜に弾いても近所迷惑にならないかとのご質問をよくいただきますが、ご自宅の住宅構造による防音状態や周囲の環境などによります。
深夜にご自宅での会話やテレビの音などが、どの程度外にもれるのかを想定いただければよろしいかと思います。
●当店取扱商品の選び方(比較)
【EV-202】
ボディが中空構造ですので軽さが魅力で、生音に近い響きを得ることができますが、音が響いてしまい、そのためゴム製消音器が付属しています。
また、ボディの隅にあるプリアンプ部に重心が集中するため重量バランスが劣り、デザイン面でも表側にコントロールつまみが大きくて目立ってしまいますが、なにより低価格なのが魅力ですね。
仕上げや作りは丁寧とは言えませんので、あくまでも練習用として、また遊び感覚や軽い趣味としてでのご使用をおすすめします。
【ESV-380】
重いのが大きな欠点ですが、デザイン面では好評で、特に他社にはあまり無い「ホワイト」カラーがインパクト抜群です。
やはり仕上げや作りは丁寧とは言えませんので、あくまでも練習用として、また遊び感覚や軽い趣味としてでのご使用をおすすめします。
【EVN-27】
発売開始以来、一番の人気商品となっていまして、製作が追いつかず、品薄状態が継続しご迷惑をお掛けいたします。
消音効果は断トツに優れ、消音器を取り付けた状態で演奏すれば、静かにラジオを聴いているのと同じ程度の音量になります。
軽量かつ重量バランスも優れているため演奏感も良好です。
弓も良質ですので、わずか数ヶ月ほどで弓を買い替える必要性も無く、ある程度上達するまでお使いいただけるでしょう。
仕上げや作りは価格から考慮すればかなり丁寧と言えますが、それでも高額なYAMAHAよりはもちろん劣りますので、やはり初心者の方の練習用としておすすめします。
【SV130、SV-200】
ご経験者の方やレッスンを受けられる場合など、また細部の作りを気にされる方には、設計の正確さ、仕上げや作りの丁寧さ、パーツの質などからも、YAMAHAの商品をおすすめしています。
電気部の性能によりヘッドホンから聞く音も美しく、特にSV-200はより軽量でより重量バランスも優れていますので演奏もしやすいです。
ただYAMAHAは割高な印象も受けますね。
【EV-204、EV-205】
消音効果よりも、ポップスやロックなどでもライブステージでお使いいただくのに適しています。