エレキバイオリン(エレクトリックバイオリン)の特徴、選び方などについてご案内します。

エレキバイオリン(エレクトリックバイオリン)とは

エレキバイオリンスナップ1  基本的に共鳴するボディが無く、電気的に音を増幅することができるバイオリンです。
 ボディが無いために、『美しい音の響き』を楽しむことはできませんが、消音効果があり、深夜の練習などの場においても期待でき、演奏時に周囲の人に気兼ねしがちな初心者にも人気があります(ヘッドホンで十分な音を聞くことができます)。
 また、ステージなどでスピーカーから電気的に大きな音を出したいときに活用できます。

 「エレクトリックバイオリン」、「電気バイオリン」、「電子バイオリン」など、呼び方は様々です。
 時々、「サイレントバイオリンとエレキバイオリンの違いを教えてください」とのご質問をいただきますが、「サイレントバイオリン」とは、Yamaha社の登録商標の商品名で、サイレントバイオリンも同じくエレキバイオリンです。電子オルガンのことを「エレクトーン」と呼ぶのと同じですね。

エレキバイオリン販売コーナー 当店がおすすめする各種エレキバイオリンのご購入は、エレキバイオリン販売コーナーからどうぞ。
 本ページ下部にも、商品の選び方をご案内していますので、ぜひご参考ください。

アコースティックバイオリンとの違い

エレキバイオリンスナップ2  (ここで言うアコースティックバイオリンとは、エレキバイオリンでない、通常のバイオリンのことです)
 エレキバイオリンは基本的に共鳴するボディが無いだけで、弦や弓などは同じものを使用しますし、演奏方法も同じです。
 そのため、エレキバイオリンは練習用としてもたいへん有効に活用できる楽器です。

 細かいことを言えば、アコースティックバイオリンは弦を弾いた後、わずかな時間差がありボディが共鳴し、更にそのボディの振動が、弦、弓へと跳ね返ってきますが、エレキバイオリンにはそのような響きの時間差や振動感はありません。
 また、アコースティックバイオリンでは倍音の響きが豊かに響きますが、エレキバイオリンにはその共鳴と残響感がほとんどありません。
 それら演奏感覚の違いによる違和感は発生しますが、上級者でもなければ、あまり神経質にならなくても良い程度で、練習用として十分と言えるでしょう。

 更に言えば、「エレキバイオリンやサイレントバイオリンはボーイングの練習にならない」といった極端な指摘さえ見かけることもありますが、一概にそのようなことはありませんのでご安心ください。
 それは主に、ボーイングの上級テクニックにおける違和感であり、アコースティックバイオリンにミュートを装着しての演奏であっても、やはり同様の違和感は発生します。
 音の共鳴を感性豊かに弾きこなす高度なボーイングテクニックに限れば練習しづらい面もありますが、それでも基本的なボーイング練習においては十分に有効です。
 エレキバイオリンは、アコースティックバイオリンを演奏する感覚を最大限残しながら、音量を最小限に押さえることができる楽器と言えます。
 わずかな演奏感覚の違和感や音の共鳴の違いよりも、消音効果やステージ演奏などメリットの方がが高いようでしたら、十分にお楽しみいただける楽器だと思います。

 ただし本来は、アコースティックバイオリンは木箱の美しい響きを楽しむ楽器とも言えます。
 その観点からは、エレキバイオリンには肝心な木箱自体が無いため音の共鳴を楽しむことはできませんので、それがエレキバイオリンの致命的な欠点とも言えますが、「練習用」や「ステージ用」としてたいへん有効にご活用いただける楽器です。
 意味無くエレキ(サイレント)バイオリンでグループレッスンをする教室もあるようですが、購入目的が消音効果を期待した練習用としてまたはステージ用としてでない場合には、エレキバイオリンよりも断然、木箱の美しい響きをお楽しみいただけるアコースティックバイオリンをおすすめします。

 なお、アコースティックバイオリンと同じように、上達後にはやはり弦や弓を良質なものに交換されることをおすすめします。
 また、とても重要なことですがエレキバイオリンでもやはり販売店による調整作業は必要ですのでご注意ください。

消音効果

エレキバイオリン 音が小さいことを期待されることが多いので、実際にどのくらい消音効果があるのか調査しました。
 その前に・・・、Yamaha社の商品名「サイレントバイオリン」という名称が誤解を招くこともありますが、すべてのエレキバイオリンは、音が完全に消えるわけではありません
 エレキバイオリンの音を出す仕組みは、アコースティックバイオリンと変わりません。
 弦から駒へ伝わる音エネルギーを、ピエゾピックアップで拾い、電気的にヘッドホンやスピーカー音を出すことができます。
 ただ共鳴するボディ自体がないので、外に漏れる音は基本的に弦を擦る程度の音のみになります。
 バイオリンは耳のそばで弾くため、本人はその消音効果をあまり感じませんが、遠くで聞くとよく分かります。
 比較するアコースティックバイオリンの質などにもよりますが、Yamaha社の発表では、音量は約1/10、音エネルギーは約1/100とされています。ただし、この測定条件などについてYamaha社からの発表はありません。実際にはそこまで極端な消音効果あるとは感じられないかもしれませんが、音の指向性や減衰特性なども含めた調査データなのかもしれませんね。いずれにしても、間違いなく小さな音になります。

ヘッドホン  さて当店では、気になる実際の音量を騒音計を用いて測定してみました。
 測定条件ですが、夜間の閑静な住宅街の部屋にて(何も音を立てずに測定すると約35dB)、高音から低音まで使用する特定の曲を同一人物が演奏し、楽器から約3メートル離れた位置にて、3度測定した音量結果の平均値を示します。
 dB(デシベル)表示ではピンとこないかもしれませんが、ご参考として次の音量をもとにイメージください。

通常の話し声やテレビの音量 約 60 dB
電話の呼び出し音量 約 70 dB
ピアノの音量 約 90 dB
電車通過時のガード下 約 100 dB

 dB数値が思ったより変わらないんだ・・・って印象をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、音量が20dB大きくなることは音のエネルギーは10倍に、音量が40dB大きくなることは音のエネルギーは100倍になるもので、つまり少しのdB数値の違いでも、大きな音量差を感じます。
 それでは様々な条件の楽器の音量測定結果を報告します。

アコースティックバイオリン 約 77 dB
アコースティックバイオリンにゴム製消音器を取付 約 69 dB
アコースティックバイオリンに金属製消音器を取付 約 61 dB
エレキバイオリンEV-202 約 69 dB
エレキバイオリンEV-202に付属するゴム製消音器を取付 約 60 dB
エレキバイオリンEVN-27EVN-37 約 63 dB
エレキバイオリンEVN-27EVN-37に付属するゴム製消音器を取付 54 dB
サイレントバイオリンSV130SV-150 約 58 dB

※以上の結果は、あくまでも音量を測定したもので、実際には音の特性により感じ方は異なりますし個人差があることをご了承ください。
※新製品のエレクトリックバイオリンYEV104YEV105は未測定ですが、おそらく60〜65dB程度かと思われます。
※アコースティックバイオリンに金属製消音器を取り付けることもかなり有効であることが分かりますが、使用においては、もともと音が響くために作られた楽器への悪影響が心配され、また取り扱いには十分な注意も必要です(「消音器と弱音器」参照)。

 つまり、エレキバイオリンの音量は、大まかに言えば通常の話し声と同じ程度の音量(60dB前後)と言えます。
 エレキバイオリンを深夜に弾いても近所迷惑にならないかとのご質問をよくいただきますが、ご自宅の住宅構造による防音状態や周囲の環境などによります。
 深夜にご自宅での会話やテレビの音などが、どの程度外にもれるのかを想定いただければよろしいかと思います。

もっとエレキバイオリンを楽しもう

 エレキバイオリンの魅力は、夜間練習用だけではありません。いろんな可能性が広がります。
 こちらは動画サイトからたまたま見つけたJoker氏によるエレキバイオリンの演奏ビデオです。

 この曲は、誰でも耳にしたことのある優雅で美しい旋律が魅力的なあの名曲「パッヘルベルのカノン」、これを台湾の音楽家ジェリーシーによりロック調にアレンジされた「カノンロック」です。
 どうでしょう。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、アコースティックバイオリンとはまた違った世界観での魅力を感じますよね。
 つまり、ロックバンドでのドラムやベースに合わせての演奏もかっこよく決まります。エフェクターなども繋いで音色をコントロールするのも有効です。
 もちろん、クラシック音楽のステージ演奏にも適しますよ。
 更には、外部アンプスピーカーに接続しての大音量演奏だけでなく、出力端子から何らかの機器に接続しての演奏録音、それを再生しながらの一人セッションなど、その他エレキバイオリンならではの楽しみ方もいっぱいです。

当店取扱エレキバイオリンの選び方(比較)

 それでは、お客様のご使用目的に対して、当店がおすすめするエレキバイオリンを以下にご案内します。価格帯も併記します。

EV-202
エレキバイオリンCarloGiordano/EV-202 (販売価格:36,852円+税)
 ボディが中空構造ですので軽さが魅力で、生音に近い響きを得ることができますが、音が響いてしまい、そのためゴム製消音器が付属しています。
 また、ボディの隅にあるプリアンプ部に重心が集中するため重量バランスが劣り、デザイン面でも表側にコントロールつまみが大きくて目立ってしまいますが、なにより低価格なのが魅力ですね。
 仕上げや作りは丁寧とは言えませんので、あくまでも練習用として、また遊び感覚や軽い趣味としてでのご使用をおすすめします。

EVN-27EVN-37
エレキバイオリンValente/EVN-27 (販売価格:28,000円〜42,000円+税)
 発売開始以来、当店一番の人気商品となっています。
 消音効果は断トツに優れ、消音器を取り付けた状態で演奏すれば、静かにラジオを聴いているのと同じ程度の音量になります。
 軽量かつ重量バランスも優れているため演奏感も良好です。
 仕上げや作りは価格から考慮すればかなり丁寧と言えますが、それでも高額なYamahaよりはもちろん劣りますので、やはり初心者の方の練習用としておすすめします。
 上位機種のEVN-37では、プリアンプの性能が優れ、弦も良質、また弓はカーボン弓です。ワンランク上のエレキバイオリンとしてお楽しみいただけます。

YEV104YEV105SV130SV150
サイレントバイオリンYamaha/SV150 (販売価格:63,750円〜112,200円+税)
 ご経験者の方やレッスンを受けられる場合など、また細部の作りを気にされる方には、設計の正確さ、仕上げや作りの丁寧さ、パーツの質などからも、Yamahaの商品をおすすめしています。
 電気部の性能によりヘッドホンから聞く音も美しく、SV150ではアコースティックバイオリンと変わらない重量で、また演奏感、品質、機能ともすべて良好です。
 Yamahaのサイレントバイオリンはちょっと割高な印象を受けてしまうことも多いのですが、たいへん優れた商品と言えます。斬新なフォルムが美しい新製品のエレクトリックバイオリンYEV104、YEV105も大人気です。

SV250SV255
サイレントバイオリンYamaha/SV250 (販売価格:136,000円〜148,750円+税)
 消音効果を期待した個人使用にももちろんお使いいただけますし、更にはレコーディングやステージ演奏などの場でのプロユース目的の場合にさえもおすすめできます。
 高性能なコントロールボックスにより、アコースティックバイオリンならではの美しい音の響きまでを徹底的に再現します。そして、新開発のピックアップ構造により表情豊かなサウンドを実現します。
 SV255は、C線(ビオラの最低音弦に相当)を追加した5弦仕様になります。
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