バイオリン弓の各部名称と概要をご案内します。

 このページでは、弦楽器の弓の各部構造について詳しくご案内します。
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各部の名称

各部の名称上部
各部の名称下部

棹(スティック)

 フェルナンブコ材、ブラジルウッド材などが使われます。
 良質な弓はほとんどフェルナンブコです。
 フェルナンブコはそれほど弓に適した木材で、曲げ強度に優れています。
 その他、硬く、密度が高く、気孔が無く、湿気に強いなどの弓に適した特徴があります。
 正確には、フェルナンブコもブラジルウッドの一つなのですが、通常ブラジルウッドとはフェルナンブコ以外のものを指します。
 ブラジルウッドの見た目はフェルナンブコとそっくりで低価格さが魅力ですが、強度が劣り、またつけられた反りが長年の間に戻りやすいのが欠点です。

弓 近年ではこのフェルナンブコの木が激減し、絶滅が危惧されているのが実状で、2007年にはワシントン条約での国際取引規制の種としても認定されました。
 同時に、フェルナンブコ材が入手困難となりつつあり、良い弓の価格が一気に高騰することさえも心配されます。
 一方で、この危機的状況を危惧し、世界各所では基金集めや植林活動も行われ始めています。

 そんなフェルナンブコ材に代わる新素材として、カーボン製の弓も作られています。
 カーボン(炭素繊維)の加工技術が発達し、その軽くて丈夫な性質から、近年では様々な物の材料として使われていますが、弓の材料としてもたいへん適しています。
 カーボン弓は管理もしやすく、音の立ち上がりも優れますが、上質なフェルナンブコ弓と比べればしなやかさに劣ります。
 それを踏まえ、10万円以下の弓であれば、カーボン弓も十分検討に値すると思います。
 カーボン弓は曲がり、変形、割れ、折れといった問題が起こりにくいことも大きな魅力の一つで、その面では初心者の方におすすめできます。
 また、ご経験者の方でも、予備の弓、2本目3本目の弓として、木製弓とは少しだけ違った演奏感をカーボン弓でお楽しみいただけますし、曲や気分に合わせて使い分けるのもおすすめです。

 棹の形状は丸形のものと八角形のものがあります。
 大量生産される低価格の弓は丸弓が多く、中上級弓は角弓が多いです。
 角弓は製作コストがかかりますが、太くしなくても強度を増すことができるメリットがあるのです。
 更に高額な弓には丸弓も多く、これは理想的な材料を使用するため、細くて軽量でも強い強度を得られるからです。
 丸弓と角弓は好みの問題でもあり、どちらが良いとは一概には言えませんが、それよりも材質や強度や重量バランスを重視して選ぶのがよいでしょう。

 馬のしっぽの毛を脱色したものです。
 主にモンゴル、中国、カナダ、南アメリカなどの馬毛が使われます。
 「弓について2」に示す取り扱いに注意し、定期的に毛替えも必要です。

ネジ(スクリュー)

 このネジを回すことにより、毛の張りを調節することができます。

フロッグ(毛箱)

 毛を巻き込んで固定し、棹とスライドして張りが調節されます。
 硬くて摩耗しにくいエボニー(黒檀)材が適しています。

サムグリップ

 牛皮、山羊皮、トカゲ皮などが使われます。
 棹の保護、指の滑り止めの役割を持ちます。

装飾

 貝の装飾部品です。
 低価格なものではプラスチックが使われることもあります。
 好みの問題もありますが、貝にも真っ白なもの、きれいな色がついたもの、縞模様がついたものなど様々で、後者ほど高級弓に使用されることが多いです。

チップ

 丈夫な牛骨が理想的ですが、安価なものではプラスチック材がよく使われます。
 たまに象牙が使われることもます。
 ぶつけやすい弓の先端を保護します。

ラッピング

 洋銀(銅合金)、銀、金合金などが使われ、後者ほど高級弓に使用されることが多いです。
 棹の保護や装飾的役割だけでなく、その巻材や巻数により重量やバランスが調整され、また人差し指の摩擦から棹を保護します。

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