バイオリン弓の取扱い、毛替え、選び方などについてご案内します。

弓の日常の取り扱い

弓毛を張る 演奏前にはネジを回して毛を張りますが、棹と毛の間が1cmくらいになるのが目安と言われることも多いのですが、サイズにもよりますので、「棹と毛の間が、棹の太さと同じくらいに張る」と覚えましょう。
 しかし棹の強度が弱い場合には、演奏時に毛が棹に接触しないよう、十分にネジを回して張ることが必要になります。
 すると弓の重心位置に影響し、弾き方(ボーイング)が困難になることもありますので、できれば強度の強い良質な弓を使用したいですね。

 演奏中には毛の張り具合に注意します
 演奏前に適度な張りにしても、室内の温湿度により弓の反りが変化し、それにより毛の張り具合も変化することがあります。
 例えば、夏場にクーラーの前で演奏を始めると、みるみると反りが変化して、一気に毛が強く張られた状態になってしまうでしょう。
 そのように、毛が強く張られた状態で演奏を続けますと、先端で棹が折れてしまう恐れもありますので(下の「その他修理について」参照)、毛の張り具合は時々チェックするようにしましょう。

 演奏後には毛を緩めます
弓の棹の拭き上げ 演奏後まず緩める前に、棹についた松脂や手垢などを布で拭き取ります。
 このとき、毛は拭かないようご注意下さい。
 さわったり拭くことにより毛を傷める恐れがあります。
 そして毛を緩めますが、その緩める量については、毛がブラブラになるまで緩め過ぎず、その直前まである程度張った状態にしておきます。
毛を緩める 毛の緩めすぎ
 緩めすぎると、ケースの中で毛が引っ掛かったり、張力バランスが崩れる恐れもあるのです。
 演奏後には必ず緩めるものですが、このように少しだけ張った状態で保管しても、棹に悪影響はありませんのでご安心下さい。

抜けた毛はハサミで切る ときどき毛が切れたり抜けることがありますが、その場合には決して引き抜かないで下さい。
 引き抜くことによって他の毛が抜けやすくなったり、張力バランスが崩れる恐れがあります。
 切れた毛を根本の方までほぐし、他の毛を傷つけないよう注意してハサミなどで切るようにします。

 特に新品の弓は、張りに対して毛が安定するまで、もともと弱っている毛が切れやすいです。
 低価格帯の弓ほどこの傾向は多いのですが、次第におさまりますし、もちろん不良ではありませんのでご安心ください。

 また、しばらく演奏しなかったときなど、ある時にケースを開けてみると、毛がバラバラと大量に抜けていることがあります。
 これは意外によくあることなのですが、虫食いが原因です。
 これを防ぐには、演奏しないときでもケースを開けて通気をよくしたりしますが、気になるようでしたらケース内に防虫剤を入れると効果的です。

弓ケース弓ケース販売コーナー
 大切な弓は弓専用ケースに収納することをおすすめします。
 定期的な毛替えに出す際に便利ですし、バイオリンケースの中で、知らない間に弓の止め具が外れていたり、棹が曲がってしまうことなどの心配が少なくなりますよ。

弓の選び方

 どうしても本体に比べ軽視されがちな弓ですが、よい音、よい演奏技術には、「魔法の杖」とも呼ばれる弓はとても重要なアイテムです。
 学校や教室などでバイオリン本体を借りることができる場合、まずは予算に余裕を持って良い弓だけを購入し、逆にあとからバイオリン本体を購入するのも有効な方法だと思います。
 また、毛替えや修理などのことも考え、複数の弓を持っていても良いでしょう。

弓  弓にとって一番重要な要素は、強度が強いということです。
 そして次に、軽量で重量バランスが良く、作りが良いことが重要です。
 材質がブラジルウッド材のものでは、強度が劣り、弾き方(ボーイング)に余計な力が入りがちですが、低価格さが魅力ですね。
 できれば強度に優れているフェルナンブコ材のものをおすすめします。
 ただしフェルナンブコ材の弓でも、木材の産地、部位、乾燥状態、加工精度などにより、品質性能や価格はまったく様々です。
 よく、弓にかける予算はバイオリン本体価格の1/3〜1/2などと言われることもありますが、特に低価格帯のバイオリンを使用する場合には、それは当てはまらないでしょう。
 たとえ安価なバイオリンでも、楽器の性能をフルに発揮できるよう、また正しいボーイングを身につけるため、弓は良いものを用意するのが理想です。
 むしろ、上達後にバイオリンを買い替えても、弓はそのまま使っていくことができるほどの性能を持ったものでも良いでしょう。
 上位の弓ほど、スティック強度や重量バランスなども優れ、正しいボーイングであれば元弓から先弓までスムーズな演奏が可能であり、楽器の性能を惹き出します。
 ただし楽器の性能により、良い弓を使用しても音質性能には限界がございますが、良い弓では演奏もしやすく、正しいボーイング技術を身に付けるのにとても有効と言えるのです。
 つまり、良質な弓を使用すれば、音色も良くなり、演奏の上達にも繋がります

 おすすめの弓を教えてくださいとのご質問を頻繁にいただきますが、理想を言えばキリがありません。
 もちろん、何千万円もする弓でなくてもよろしいかと思いますが、ご予算が許されるのであれば、できるだけ良い弓を選択されることをおすすめします。
 弓を良いものに交換したら、これが自分のバイオリンの音なのかと驚くほど鳴りが良くなることも珍しくありません。

 重ねて申し上げますが、低価格帯のセット商品として付属している弓の多くは決して高品質とは言えません。
 楽器の性能をフルに発揮できるよう、また正しいボーイングを身につけるために、できましたら早期に、もしくは弓の取り扱いにも慣れ、ある程度上達したら、良質な弓に交換されることをおすすめします。

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弓の毛替え

 毛は1本の弓に150〜200ほど付いていますが、消耗部品です。
 弾き込むうちに弦との摩擦が小さくなってきたり(演奏中に弓が横滑りしやすくなります)、毛の量が少なくなってきたり、また伸びたりしていきます。
 そのため定期的に毛の張替が必要です。
 プロは2ヶ月ほどで毛替えをするそうです。
 演奏量にもよりますが、半年に一度を目安に、最低でも1年以内には張り替えたいところですね。
 毛替えのご依頼はもちろん当店でもお受けしていますのでお気軽にご用命ください。
 → (弓毛替え受付

 毛替え作業は、巨大な毛の束から良好な毛を一本ずつ選別する作業から始まり、くさびの成形をはじめとした地道で細かい作業が2時間以上続く、たいへん根気の要る作業で、何より熟練したハイレベルな技術を必要とします。
 近年では瞬間接着剤を使用した安価な毛替え修理を行うところも少なくないようで残念に思いますが、当店での毛替えは、もちろん良好な状態できちんと仕上げさせていただきますのでご安心ください。

 なお、低価格帯のセット商品として付属しているの弓の多くは、コストダウンのために、使い捨てのお試し用の弓が採用されています。
 毛替えをするよりも同じレベルの弓を買い替えたほうが安いくらいですので、そういった弓の毛替えは必要無いと言えます。
 消耗品としてお考えいただき、早期に良い弓への交換をご検討されることをおすすめします。

その他修理について

 その他、弓についてももちろん修理をお受けできますので、なにかございましたらお気軽にご相談ください。
 棹の反り修正、サムグリップ交換、ラッピング交換、チップ交換などなど、なんでも当店にてお受けいたしますのでご安心ください。

 さてここで、棹の先端折れについてご案内します。
弓の棹の先端折れ 弓の構造上、棹の先端部にもっとも力が集中します。
 そのため、例えばぶつけたり落としたり、必要以上に弓毛を張ったりすることにより、折れてしまうことがあります。
 新品の場合で特に多いのが、上記理由以外にも、新品の弓毛に松脂をしっかりと塗り込もうと、必要以上にぎゅうぎゅうと松脂に押しつけながら塗ると、折れてしまうことがあります。
   また演奏後に、弓毛を張ったままケースに収納すると、張ったままの弓に持ち運びの振動や衝撃が伝わり、次回ケースを開けてみると折れてしまっていることもあります。
 もし折れても状態によっては修理可能ですが、お取扱いによる原因が圧倒的に多いこの症状についてはメーカー保証がありませんので、仮にお買い上げいただいてから早期であっても有料修理となります。
 なお、安価な弓の場合には、修理するよりも同じレベルの弓を買い替えたほうがはるかに安いので、それを機に良質な弓への買い替えをご検討いただいてはと存じます。
 木製弓の性質上、この破損が起こり得ることを完全に避けることは困難ですが、あまり神経質になり過ぎず、正しくお使いいただくことをお気を付けください。どうしてもご心配でしたら、弓について1にご案内するように、棹の耐久性が優れたカーボン製の弓をご検討いただくのも有効です。

 正しく使用していても、起こり得る弓の故障は他にもいくつかあります。
 定期的に弓毛を替えられるよう、毛束をくさびで固定している構造上、くさびがずれてきたり、突然毛束ごと抜け落ちることもあります。
 ラッピング巻き線がほどけてしまうこともあるでしょう。ラッピングの表面に貼ってある透明の保護フィルムは、金属の変色防止だけでなく、ラッピングの弛緩防止にも必要なものです。そのため保護フィルムは剥がさず、もし一部が剥がれてきたら接着してお使いいただくことを推奨します。

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