バイオリン弓の取扱い、毛替え、選び方などについてご案内します。

●日常の取り扱い
弓毛を張る 演奏前にはネジを回して毛を張りますが、棹と毛の間が1cmくらいになるのが目安と言われることも多いのですが、サイズにもよりますので、「棹と毛の間が、棹の太さと同じくらいに張る」と覚えましょう。
 しかし棹の強度が弱い場合には、演奏時に毛が棹に接触しないよう、十分にネジを回して張ることが必要になります。
 すると弓の重心位置に影響し、弾き方(ボーイング)が困難になることもありますので、できれば強度の強い良質な弓を使用したいですね。

演奏中には毛の張り具合に注意します
 演奏前に適度な張りにしても、室内の温湿度により弓の反りが変化し、それにより毛の張り具合も変化することがあります。
 例えば、夏場にクーラーの前で演奏を始めると、みるみると反りが変化して、一気に毛が強く張られた状態になってしまうでしょう。
 そのように、毛が強く張られた状態で演奏を続けますと、先端で棹が折れてしまう恐れもありますので(下の「●その他修理について」参照)、毛の張り具合は時々チェックするようにしましょう。

演奏後には毛を緩めます
弓の棹の拭き上げ 演奏後まず緩める前に、棹についた松脂や手垢などを布で拭き取ります。
 このとき、毛は拭かないようご注意下さい。
 さわったり拭くことにより毛を傷める恐れがあります。
 そして毛を緩めますが、その緩める量については、毛がブラブラになるまで緩め過ぎず、その直前まである程度張った状態にしておきます。
毛を緩める 毛の緩めすぎ
 緩めすぎると、ケースの中で毛が引っ掛かったり、張力バランスが崩れる恐れもあるのです。
 演奏後には必ず緩めるものですが、このように少しだけ張った状態で保管しても、棹に悪影響はありませんのでご安心下さい。

抜けた毛はハサミで切る ときどき毛が切れたり抜けることがありますが、その場合には決して引き抜かないで下さい。
 引き抜くことによって他の毛が抜けやすくなったり、張力バランスが崩れる恐れがあります。
 切れた毛を根本の方までほぐし、他の毛を傷つけないよう注意してハサミなどで切るようにします。

 特に新品の弓は、張りに対して毛が安定するまで、もともと弱っている毛が切れやすいです。
 低価格帯の弓ほどこの傾向は多いのですが、次第におさまりますし、もちろん不良ではありませんのでご安心ください。

 また、しばらく演奏しなかったときなど、ある時にケースを開けてみると、毛がバラバラと大量に抜けている場合、これは意外によくあることなのですが、虫食いが原因です。
 これを防ぐには、演奏しないときでもケースを開けて通気をよくしたりしますが、気になるようでしたらケース内に防虫剤を入れると効果的です。

 また、大切な弓は弓専用ケースに収納することをおすすめします。
弓ケース
 バイオリンケースの中で、知らない間に弓の止め具が外れていたり、棹が曲がってしまうことなどの心配が少なくなりますよ。

●選び方
 どうしても本体に比べ軽視されがちな弓ですが、よい音、よい演奏技術には、「魔法の杖」とも呼ばれる弓はとても重要なアイテムです。
 学校や教室などでバイオリン本体を借りることができる場合、まずは予算に余裕を持って良い弓だけを購入し、逆にあとからバイオリン本体を購入するのも有効な方法だと思います。
 また、毛替えや修理などのことも考え、複数の弓を持っていても良いでしょう。

 弓にとって一番重要な要素は、強度が強いということです。
 そして次に、軽量で重量バランスが良く、作りが良いことが重要です。
 材質がブラジルウッド材のものでは、強度が劣り、弾き方(ボーイング)に余計な力が入りがちですが、低価格さが魅力ですね。
 できれば強度に優れているフェルナンブコ材のものをおすすめします。
 フェルナンブコの弓でも、品質や価格は様々です。
 よく、弓にかける予算はバイオリン本体価格の1/3〜1/2などと言われることもありますが、特に低価格帯のバイオリンを使用する場合には、それは当てはまらないでしょう。
 たとえ安価なバイオリンでも、楽器の性能をフルに発揮できるよう、また正しいボーイングを身につけるため、弓は良いものを用意するのが理想です。
 むしろ、上達後にバイオリンを買い替えても、弓はそのまま使っていくことができるほどの性能を持ったものでも良いでしょう。
 おすすめの弓を教えてくださいとのご質問を頻繁にいただきますが、このように理想を言えばキリがありません。
 もちろん、何千万円もする弓でなくてもよろしいかと思いますが、ご予算が許されるのであれば、できるだけ良い弓を選択されることをおすすめします。
 弓を良いものに交換したら、これが自分のバイオリンの音なのかと驚くほど鳴りが良くなることも珍しくありません。

 重ねて申し上げますが、低価格帯のセット商品として付属している弓の多くは決して高品質とは言えません。
 楽器の性能をフルに発揮できるよう、また正しいボーイングを身につけるために、できましたら早期に、もしくは弓の取り扱いにも慣れ、ある程度上達したら、良質な弓に交換されることをおすすめします。

●毛替え
 毛は1本の弓に150〜200ほど付いていますが、消耗部品です。
 弾き込むうちに弦との摩擦が小さくなってきたり、毛の量が少なくなってきたり、また伸びたりしていきます。
 そのため定期的に毛の張替が必要です。
 プロは2ヶ月ほどで毛替えをするそうです。
 演奏量にもよりますが、半年に一度を目安に、最低でも1年以内には張り替えたいところですね。
 毛替えのご依頼はもちろん当店でもお受けしていますのでお気軽にご用命ください。
 → (弓毛替え受付

 なお、低価格帯のセット商品として付属しているの弓の多くは、コストダウンのために、使い捨てのお試し用の弓が採用されています。
 毛替えをするよりも同じレベルの弓を買い替えたほうが安いくらいですので、そういった弓の毛替えは必要無いと言えます。

●その他修理について
 その他、弓についてももちろん修理をお受けできますので、なにかございましたらお気軽にご相談ください。
 棹の反り修正、サムグリップ交換、ラッピング交換、チップ交換などなど、なんでも当店にてお受けいたしますのでご安心ください。

 さてここで、棹の先端折れについてご案内します。
弓の棹の先端折れ 弓の構造上、棹の先端部にもっとも力が集中します。
 そのため、例えばぶつけたり落としたり、必要以上に弓毛を張ったりすることにより、折れてしまうことがあります。
 新品の場合で特に多いのが、上記理由以外にも、新品の弓毛に松脂をしっかりと塗り込もうと、必要以上にぎゅうぎゅうと松脂に押しつけながら塗ると、折れてしまうことがあります。
   また演奏後に、弓毛を張ったままケースに収納すると、張ったままの弓に持ち運びの振動や衝撃が伝わり、次回ケースを開けてみると折れてしまっていることもあります。
 もし折れても状態によっては修理可能ですが、お取扱いによる原因が圧倒的に多いこの症状についてはメーカー保証がありませんので、仮にお買い上げいただいてから早期であっても有料修理となります。
 なお、安価な弓の場合には、修理するよりも同じレベルの弓を買い替えたほうがはるかに安いので、それを機に良質な弓への買い替えをご検討いただいてはと存じます。

初心者コラム目次
◆弓について2
バイオリンパレット初心者コラム