バイオリン弦の交換方法、種類、寿命などをご案内します。

●弦の種類
「ガット弦」
 古くから、あらゆる弦楽器の弦として広く使われてきました。
 羊の腸から強い繊維を取り出して乾燥させ、よじり合わせたものです。
 現在ではそれを芯材として、糸状の金属を巻き付けたもの(巻線)が使われるようになりました。。
 しなやかさが特徴で、音が豊かで柔らかく、あたたかみがあります。
 その音質は魅力的で、古くから高級弦として使われますが、伸びやすいためチューニングも困難で寿命も短く、なにより高価です。
 初心者にはあまり向いていないかもしれません。

「スチール弦」
 しなやかさや音の柔らかさでは劣りますが、伸びにくいためチューニングも簡単で寿命も長く、低価格です。
 中学高校のオーケストラや、分数バイオリンに多く使われます。
 音色も金属的な印象を受けますが、取り扱いやすいため初心者におすすめです。

「ナイロン弦」
 その名の通り芯材がナイロンの巻線です。
 ナイロン弦はガット弦とスチール弦の中間的性質を持っています。
 ガット弦より取り扱いやすく、スチール弦よりしなやかです。
 近年ではたいへん人気があり、多くの人がナイロン弦を使っています。

●1弦(E線)について
 バイオリン弦は、細い方から順に1弦、2弦、3弦、4弦ですが、慣れれば一般的にはE線、A線、D線、G線と呼ぶことのほうが多いです。
 このうちの、1弦(E線)については、「ボールエンド」と「ループエンド」の2種類のタイプがあります。
ボールエンドとループエンド
 「ボールエンド」は、弦の先端部分に丸い金属が付いています。
 「ループエンド」は、弦の先端部分は輪っか状になっています。
ループエンド専用アジャスター「ループエンド」の弦は、ループエンド専用のチューニングアジャスターを使用している場合にのみ使用します(フック状の金具に輪っかを引っ掛けます)。
 それ以外は基本的にすべて、「ボールエンド」の弦を使用しますが、丸い金属をテールピースの穴やアジャスターの溝に引っ掛けます。
 弦の購入時には間違えないようご注意ください(兼用になっている弦もあります)。
 ただ、ボールエンドの弦が必要なのに、誤ってループエンドの弦を購入した場合、輪っかをアジャスターに引っ掛ければ、そのまま使用できますのでご安心ください。
 ちなみに、2弦(A線)、3弦(D線)、4弦(G線)はすべてボールエンドタイプになります。

●弦のサイズについて
 分数サイズのバイオリンを使用している場合、バイオリンと同じサイズの弦を使用します(大人用は4/4です)。
 一部の弦では、例えば「3/4〜1/2用」といった兼用サイズの弦もあります。
 弦が長すぎて糸巻きに巻ききれないことがありますが、その場合は弦の先端をニッパやはさみで適度に切断して使用します。

 なお、バイオリンの1/10サイズのみは日本独自のサイズのため、1/10用の弦はありません。
 バイオリンが1/10の場合、一般的には1/8用の弦を使用することのほうが多いようですが、弦のテンションの関係上、当店では1/16用の弦を選択されることをおすすめします。

●駒への食い込み対策
 特にE線は細いため、使用していくうちに弦が駒に食い込んでいきやすいです。
 その対策用として、食い込み防止チューブが付いている弦が多く、使用する場合は下の写真のように、駒に当たる位置にチューブをずらして使用します。
食い込み防止チューブ
 他のADG線については、弦自体がそれほど細くないので必要ないでしょう。
 駒側に食い込み防止テープを貼る場合もありますが、そういった駒の場合はチューブを使用する必要はありません。
 ただ、若干音の響きを抑えてしまう欠点もありますので、こういった食い込み防止対策は敬遠されることも少なくありません。

●弦の寿命
 まず消耗品である弦は、使用期間に関係なく、突然切ってしまうことも十分にあり得ます
 切れた弦はもう使用できませんので、予備弦を常に用意されておくことを強くおすすめします

 弦が切れなくても、劣化による寿命もあります。
 プロの演奏家はだいたい1ヶ月以内には交換するそうですが、趣味として弾く程度でしたら、演奏量にもよりますが、3ヶ月〜半年ほどで交換するのが良いでしょう。
 弦が古くなると、音程が取りづらくなったり、音に艶がなくなったりします。
 1本だけ切れてしまったら、全体の音のバランスが狂わないよう、できれば全部交換するのが理想ですが、まだ新しければ切れた弦だけを交換しても大丈夫です。
 本番のときなどで、できるだけ良い音で演奏したい場合には、直前に交換するのでなく、弦が安定するよう1週間ほど前に交換するのがおすすめです。

 また、低価格帯のバイオリンにはじめから張ってある弦はコストダウンのため良質なものは少ないです。
 高額なバイオリンでも、弦は製造時から張ってあることも多く、演奏しなくても弦は劣化しますので、耐久性は劣ります。
 そのため少し使っただけでも切れることもありますが、ギターなど他の弦楽器と同じく、すぐに切れた弦についてのメーカー保証は一切ありません。
 当店では、発送前に検品調整を行うため、正常にチューニングができることも間違いなく確認しております。
 やはり中にはその時点で切れる弦もありますが、それはもちろん、すぐに切れそうな状態になっている弦も当店の負担にて交換してから発送しております。
 しかしながらそれでも、バイオリンの弦自体はもともと切れやすいため、すぐに切れてしまうこともあるかもしれません。
 これらのことは特に低価格帯の商品の弦に言えますが、できればすぐにでも、またチューニング等取り扱いに慣れてから、弦を交換することをおすすめします
 音質も耐久性もグンと良くなりますよ。

●弦の交換方法
 先述したとおり弦は消耗品ですので、また決して難しい作業ではありませんので、ご自身で弦を交換できるようにされることをおすすめします。
 まずご注意いただきたいのは、すべての弦を同時に外してはいけません。
 駒を倒さないよう、また魂柱が倒れないようにするために、弦は1本ずつ交換していきます。
 ボディ内部にある魂柱は接着されているわけではなく、ただ挟まっているだけで(「魂柱について」参照)、通常は弦の圧力によってしっかりと固定されますが、すべての弦を外すと、魂柱の位置がずれたり倒れたりする可能性があるのです。
 とは言っても、よほどのことがなければ大丈夫ですので、あまり神経質にならなくても結構ですが、できれば1弦(E線)、4弦(G線)、2弦(A線)、3弦(D線)の順番で、1本ずつ交換する習慣をつけておくと安心です。
 交換する際には、駒の傾きにも常に注意しながら行うようにしましょう。駒の正常な状態については、「駒について」をご参考下さい。
 更にもう一つ、慣れないうちは作業中にうっかり手を滑らしたりすることもあるでしょう。その際、ピンと張った弦が勢いよく一気に緩んだ拍子に万が一顔に当たると危険ですので、必要以上に顔を近づけて作業しないようにしましょう。

 以上を念頭に置き、それでは糸巻きを緩めて弦を1本外してみましょう。
 余談ですが、弦を外したついでに、駒や上駒の弦が通る溝に、濃い鉛筆やロウをなぞっておくと、滑りが良くなり弦を傷めにくくなりますよ。
駒の溝を鉛筆でなぞる上駒の溝を鉛筆でなぞる

 次に新しい弦を取り付けます。
丸い金属部分をテールピース穴に引掛ける  弦の丸い金具をテールピースの穴やアジャスターに引っ掛け、
もう一方の先端を、糸巻きに巻き付けていきますが、この巻き付け方にも注意が必要です。
弦の先端が少し出るまで糸巻き穴に入れる  弦の先を糸巻きの穴に通し(糸巻きの反対側から少しはみ出る程度まで入れます)、手前から奥へとグルグル巻いていきます。
抜けにくくするよう一周挟み込む  弦がすぐに抜けてしまうときには、穴の反対側から出した弦の先端を挟み込むか、一度交差させるのが望ましいです。
弦が重ならないように巻く  そして、弦が重ならないよう、内側から外側に巻いていきます
 弦が重なっている状態だと、チューニング時にそこで弦が擦れ合うために切れやすいのです。
駒の溝からずれないように  ある程度まで巻いたら、駒と上駒の溝にちゃんと通るように弦をずらして、糸巻きをゆっくりと巻くようにします。
 弦は横方向の力には強いのですが、縦方向の力には弱く、急激に強く巻くと、駒や上駒の辺りなどで切れてしまうことがありますのでご注意ください。
 そしてあとはチューニングをして完了ですが、これについては「チューニング方法」をご覧ください。

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◆弦について
バイオリンパレット初心者コラム