楽器が入ればどれでも一緒・・・ではありません。
大切な楽器を保護するものですから、慎重に選びたいですね。
「バイオリンケース販売コーナー」、「ビオラケース販売コーナー」、「チェロケース販売コーナー」
それでは、ケースの選び方を踏まえて詳しくご案内します。
まずバイオリンケースの形状には、大きくは「丸型ケース」と「角型ケース」に分類されます。
丸型ケースの中でも、側面がまっすぐなものを「三角型ケース」や「トライアングルケース」と呼んだり、バイオリンの形状に沿って曲線状になっているものを「シェイプケース」や「ひょうたん型ケース」と呼ぶこともあります。
角型ケースは、「四角型ケース」や「オブロングケース」と呼ばれることもあります。
他に特殊なものでは「半月型ケース」などもあり、個性的なルックスのバリエーションも楽しめるでしょう。
丸型ケースのメリットといえば、なによりまず小さく軽い、そして低価格という点です。丸型ケースの中でもシェイプケースはもっともコンパクトになりますが、肩当の収納は困難でしょう。デメリットは、外部の衝撃がバイオリンに伝わりやすいこと、楽譜や小物の収納部が小さいこと、またデザインによっては安っぽく見えてしまうこともあるようです。
角型ケースのメリットは、外部の衝撃が楽器に伝わりにくいこと、A4サイズの楽譜も収納でき、小物入れも大きく肩当てなども余裕で収納することができるタイプも多いです。デメリットはもうお分かりのとおり、大きくて重いこと、価格が比較的アップすることでしょう。
昔から一般的には、車での持ち運びがほとんどであったり、なにより収納の便利さからも、角型タイプのバイオリンケースにあこがれることが多いようです。
一方で、上級者の方でもむしろ好んで良質な丸型タイプのバイオリンケースを愛用されていることが少なくありません。演奏活動による移動が多く、少しでもコンパクトで軽いほうが好まれる傾向もあるそうです。
つまりは、ご自身の持ち運びスタイルやお好みに応じて、丸型と角型、そのどちらが自分に合っているかを決めるのが良いでしょう。
バイオリンケースの素材は、紙や化学材料などが主に採用されてきましたが、最近では軽量で断熱性に優れ、低価格なハードフォーム(発泡フォーム)製も多いです。例えばバイオリンケースGrazioso/CVN-100はハードフォーム製で重量はわずか約1.2kg(フルサイズ)です。
また、重くて高額なために最近ではずいぶんと減りましたが、頑丈で耐熱、吸湿性にも優れる木材を採用している木製ケースもあります。
そして近年では、軽量でコンパクト、また耐久性や気密性に優れるカーボンやグラスファイバー製ケースの人気がたいへん高いです。スタイリッシュなフォルムデザインとカラフルなルックスも注目を集めています。お値打ちなタイプではバイオリンケースEastman/Standardが人気ですが、多彩なカラーラインナップからお選びいただけます。他にも、高級カーボンファイバー製ケースも各種取り揃えています。
湿度計が付いているケースもありますが、湿度計は簡易的なもので決して精度が高くありません。あくまでも目安としてお考えいただくのが良いでしょう。
湿度の高い時期には、湿度調節剤モイスレガートや除湿乾燥剤ドライフォルテなどを入れることも有効ですが、それらがケース内でがたつかないよう、例えばネックの下部分にマジックテープで固定したり、工夫されて使用される方も多いですね。
鍵が付いているケースもあります。やはりこれも簡易的な機構が多く、施錠したから安心というものでは決してありません。
なにより、もし万が一バイオリンの盗難等の被害に遭う際には、わざわざケース内のバイオリンが取り出されることなく、当然そのままケースごと盗難される場合がほとんどですので、一般的には鍵付ケースでも施錠は盗難回避の意味を成さないと判断され、鍵を使わないことが圧倒的に多いようです。そのほうがもちろん楽器の出し入れの手間を省けますし、鍵の紛失や故障のリスクも避けられるでしょう。
それでも昔から、鍵付ケースは今でも作られ続けていますが、しっかりした機構の鍵以外は、装飾程度にお考えいただいたほうがよろしいかと思います。
ケースにも様々な価格帯のものがあり、その価格差にびっくりされるかもしれませんね。
しかしこれが結果的に、ケース選びにおいて、もっとも重要なことと言えるでしょう。
高額なケースほど楽器のことをよく考えて作られていまして、大切な楽器をしっかりと保護して守ります。
例えばケース中で楽器ががたつきにくいため衝撃が分散され、楽器の破損のトラブルを防ぎます。
また、耐久性に優れ、作りもしっかりしていることはもちろん、内装の布地も良質なためニスに布の跡が付いてしまうトラブルも少なく、縫製もしっかりしていて破れにくく、気密性にも優れ雨や湿気の浸入を防ぐ効果もあります。
そういったことが大きな価格差の理由ですが、特に良質な楽器をお使いでしたら、特に持ち運びが多いようでしたら、できるだけ良いケースを使用されることをおすすめします。
楽器を入れたときに隙間が大きくできる場合は、その隙間に布などを敷いて埋めるようにしたほうが良いでしょう。
楽器と弓の間にブランケット(バイオリンカバー)を敷くことも、移動中に万が一、例えば弓が固定部から外れた時に楽器を傷付けないためにはかなり有効です。
直射日光を避け、夏場に暑くなる車内(トランク)に置く場合も十分ご注意下さい。
もちろん水にはつけず、激しい雨はあたらないようにします。雨の日の移動には、ケースの上からまるごと被せるバイオリンレインカバーを常備しておくと安心です。
楽器をケースから出し入れするときには、弦や指板を引っ張らずに、ボディに爪で傷を付けないようネック部を持ち、あご当て辺りに手を添えるようにして出し入れします。
休憩時間などのちょっとした時間でも、特にその場を離れる際にはバイオリンを椅子の上に放置したり壁に立て掛けたりしないで、バイオリンはなるべくケースに入れるように心掛けましょう。
もしくは、「ちょっと置き」用として、バイオリンスタンドを活用いただくことをおすすめします。実際にスタンドを使ってみるととても便利ですよ。
持ち運びの際に、ケースのストラップを肩に掛けて使われる方も多いと思います。
めったに起きない事故ではありますが、ストラップの金具が破損したりして、ケースごと落としてしまうことがあります。
中に入っているバイオリンが非常に心配されますね。
万が一バイオリンが破損しても、ケース会社の補償があるわけでもございません。
そのようなことが起きないよう、ケースを持つ前には、手でストラップを引っ張ったりして金具の状態を確認してから持つようにする習慣をつけることをぜひともおすすめします。
電車で移動する場合には、振動や衝撃に注意が必要です。
電車内で立っている時は、ケースを縦置きにして保持する光景を見かけますが、ケースに脚がついていたとしても振動は小刻みに伝わります。
背負ったり抱きかかえるのが理想ではありますが、縦置きする場合には、ケースが床に直接触れないよう、靴の上に乗せるのも有効でしょう。
また、持ち運んで使用するケースの性質上、使用期間や使用回数を問わず、一般的な鞄やバック同様に、全メーカーともケース自体の保証は一切ありません。
しかしながら当店では、修理など可能な限り対応させていただきますので、ご購入いただきましたケースの故障に関するご相談も、どうぞ遠慮なくお申し付けください。